『迷路』 キャサリン・コールター迷路を歩かせ殺し舌を切る連続殺人犯を、レーシーというFBI捜査官が追い詰める。レーシーは殺人者にかつて姉を殺されていた。 犯罪分析課(CAU)に配属された彼女は、上司のサビッチと共に犯人を捕まえるが、姉の事件には疑問が出てくる。 原題『THE MAZE』 二見書房 まずCAUですが、実際にあるのかどうか分らないんですが、プロファイリングにコンピューターを取り入れた捜査を行う課、という感じでしょうか。もちろん何をインプットするか、アウトプットをどう分析するかは捜査員の力量にかかってるわけです。 感想なんですが・・・。 なんか読んでて違和感があったんですよね。私はミステリーを読んでるんだよねぇ?、って感じの。 で、最後に後書きを読んで納得。 この作者、ハーレクイン・ロマンスを書かれていたそうです。 他にもヒストリカル・ロマンスの書き手で、要するにロマンス作家なのですよ。 だってレーシーの恋人になるサビッチ、すごいですよ。 CAUのリーダーでコンピューターはお手の物、ものすごい切れ者。 レーシーの母に「ハンサムな男は信用しちゃいけないのよ。」と言わせるほどのイケメン。 痩せて見えるがジムでの運動を欠かさないマッチョであり、空手の達人。 深い声を持ち、カントリー音楽を歌わせると素敵。 著名な画家の祖母から相続したしゃれた家に住み、料理は上手。 愛車はポルシェ。 暗い過去も忘れてません、妻を病気で亡くしていて、女性に対して本気で愛を感じることがなかった、言うまでもなくレーシーに出会うまで。 でもアメリカではセクシャルな魅力は不可欠、かつては絶世の美女ハンナと関係を持っていた。が、ハンナが同じ部署に配属になると、同じ職場で関係を持たないとのポリシーのもと別れていた。 もう「どうです。」、と言わんばかりのキャラ設定(笑。 ストーリーもてんこ盛り。 殺人者はお決まりの子供の頃のトラウマ持ち。 レーシーも姉が殺されたことがトラウマになっているが、忘れている過去がさらにありそう。 レーシーの家族達は問題を抱えている。ミステリーにありがちな家族の過去の掘り下げ。 姉の元夫の現妻、そしてハンナに強烈な嫉妬を持たれる。 特にハンナ、優秀な捜査官と言う事になってるのに、それはないだろうの愚かさ。 ロマンスのシーンも多いですよ、そしてエロティック。でも隠微さの欠片もないから平常心で読めます(笑。 そう、この小説はミステリー仕立てのラブロマンスだったわけです。 あれこれ盛り込んだ割には解決方法が簡単すぎて、それがちょっとね。 消化不良って感じです。 ・・・なんて辛口ですが、ミステリーとしても充分面白かったです。 次から次へと話が展開して、先をどんどん読みたくなるストーリー運びはさすがです。 レーシーが殺人者と対峙するシーンは緊迫感もあり、ただのラブロマンスではないことを証明しています。 ・・・というわけで、2作目『袋小路』を読み始めてる私です(笑。 |